2010年09月26日

室見川沿いの散策から愛宕神社へ

 天気は明日に向かって下り坂らしく、朝から雲の多い空模様だ。午前中はそれでも陽が射していたが、昼前には完全な曇り空となる。本来は今日も晴天のはずだったのに、あてが外れた。午後には雨がパラつくなんて言っているから、遠出はやめておいた方が良さそうだ。

 本日の散歩は地下鉄空港線「室見駅」からスタート。駅名は、すぐそばを流れる室見川に由来する。室見川沿いをそぞろ歩き、雨が降ってきたら地下鉄で引き返そうという腹積もりだ。

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 福岡の人に室見川と言うと、たいていシロウオの話になる。産卵のためシロウオが早春に海からこの川に上ってくるらしく、それを食べさせてくれる店もあると聞く。とはいえ、私としては関心が薄い。

 以前、別の場所でシロウオを食べたことがあるが、それほどおいしいとは思わなかった。だいいち、生きているものをそのまま口に入れて食べるというのは、あまり気持ちのいいものではない。口の中で暴れられると何だかとても残酷なことをしている気分になる。とても食べれないという人もいるが、その気持ちは経験上よく分かる。

 「シロウオは精がつく」とありがたがられているが、その分生命力が強いので、ポン酢につけたぐらいでは死なず、かえって暴れてその辺りに飛び跳ねる。私が食べたときは、飛び跳ねた一匹が横に置いてあったお茶の中に入ってしまったが、覗いてみるとお茶の中で元気に泳いでいた(笑)。すばしっこいものだから、それを箸でつまむのが一騒動で、仕方ないのでお茶ごと飲んだ(爆)。

 まぁシロウオの話は横に置いておいて、話を室見川に移そう。川沿いの歩道から見ると、下流だというのに水はかなり澄んでいて、思いのほかきれいである。小魚が群になって泳いでいるのが見える。その魚を狙ってのことか、魚釣りをしている人を何人も見掛ける。

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 地下鉄の駅のある室見橋はかなり海よりのところなので、上流に向かって歩く。筑肥橋を越え、室見新橋まで行く。このまま遡っていくと、景色がどんどんいい感じになっていくが、天気は下り坂で、時折ポツリと雨が落ちて来る。更に先まで室見川を遡るのはまたの機会にするかと、そろそろ室見橋に向けて戻り始める。

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 この川は野鳥が集まる場所だと聞いた。川は概ね浅くて、水が澄んでいることもあり、両岸辺りでは川底がはっきり見える。また、川岸が砂地になっている部分もあるし、所々中州も見える。野鳥が餌をあさるには格好の場所かもしれない。川の至る所で鳥を見掛けるし、上空には盛んにカモメが舞う。海に近い証拠だ。

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 さて、野鳥観察も終わったところで、室見橋に着いた。この往復でだいたい2kmくらいか。そうこうしているうちに天気が持ち直して来たようで、パラついていた雨も収まり、時折空が明るくなる。この調子だと雨の方は暫く大丈夫だろうと思い、近いので愛宕山に登っていこうと考えた。もし雨が降り出したらそのまま室見駅から地下鉄で戻る予定だったが、ちょっと得した気になる。

 室見橋を渡って「姪浜(めいのはま)」側に行き、橋のすぐ先を浜側に折れたところに登り口がある。愛宕山は福岡の人には人気のスポットらしく、車で登れて景色が良いので有名だ。車で夜景を見に来る人も多いと聞く。標高は60mだが、登り口の最初の部分だけ多少急で、あとはゆるやかになる。

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 福岡市の小高い地域にはだいたい桜が植わっていて花見の名所になっているようだが、ここも例外ではなく、桜の季節は見事らしい。でもそんな時期に来たら、騒がしくてノンビリ散歩というわけにもいくまい。ウォーキングというのは常に山場の時期を外して行かねばならないというのが私の基本姿勢だ。花見に来るなら花見だけ。それがあるべき姿だ。

 さて、くねくねと坂道を上り詰めると駐車場があり、車はここまでしか来られない。この先に神社の階段があり、頂上には愛宕神社がある。神社境内がそのまま展望台みたいになっていて、ここからの眺望が素晴らしい。天気のいい休日は、けっこう人が来ている。

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 神社そのものは小さなもので、たいていの人は神社よりもここからの眺めの方に関心があるわけだが、この古くて小さな神社、実は只者ではない。毎度福岡によくある話だが、歴史が古すぎて分からないという神社なのだ。普通、神社の解説では創建が「鎌倉時代」とか「江戸時代」とか書かれているが、この神社は「神代」となっている(笑)。

 正式名称は「鷲尾愛宕神社」というらしいが、愛宕神社の方はあとから付いてきたもので、元は「鷲尾神社」である。この神社の縁起では「景行天皇」の時代に建てられたらしい。そう言ってもピンと来ないかもしれないが、景行天皇は神話上の人物で、この人の息子が、日本神話で英雄として登場する「日本武尊(やまとたけるのみこと)」だ。いったい、どれだけ古いんだ。

 愛宕神社の方は、1634年に福岡藩主黒田忠之が京都から愛宕権現を迎えたことで、鷲尾神社に愛宕神社が合体することになった。それまで鷲尾山と呼ばれていた山も、このときから愛宕山という名前に変わる。

 ただ、この後からやってきた愛宕神社の方も有名らしく、京都郊外にある総本山の愛宕神社と、徳川家康の命により建てられた東京都港区の愛宕神社と並んで、三大愛宕神社と呼ばれているらしい。私は東京の愛宕神社は行ったことがあるから、これで三大愛宕神社のうち二つは行ったことになる。もっとも東京の愛宕神社に行ったのは花見のためなのだが・・・。

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 愛宕山から東方向にある百地浜を見る。そびえるタワーは「福岡タワー」である。ここに見える地域は全て埋め立てで、以前は海だった。周辺に見えるマンションはいずれも高級マンションらしい。実は地下鉄の駅からは遠いのだが、まぁ海が見えるというロケーションがいいんだろうねぇ。

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 次は東側。正面の島は「能古島(のこのしま)」。右が「志賀島(しかのしま)」で、「漢委奴國王」の金印が堀り出された島である。この写真だと見えにくいが、志賀島の右側は極めて細い道で福岡側とつながっている。この道が「海の中道(うみのなかみち)」だ。また、写真左手の観覧車のあるところが、「マリノアシティー福岡」というアウトレットモールである。

 愛宕山のちょうど北側は姪浜の高級住宅地である。これらは全て埋立て地で、百地浜と同じくかつては海だった。遠くからだと分かりにくいが、この辺りの街の雰囲気は開放的で感じが良い。何となくアメリカ西海岸風である(笑)。それもあって高級感漂うのかなぁ。

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 姪浜というのは不思議な名前だが、ずっと昔は「衵ノ浜(あこめのはま)」と呼ばれていたらしい。そのうち「あこ」の部分が取れて、今の名前になったと伝えられている。

 では衵ノ浜というのはいったい何かということになるが、これがまた神話時代に遡る(笑)。福岡の話をしていると、簡単に神話時代の話が出てくるところが尋常ではない。

 神話と現実の境界線辺りの時代に、有名な「神功皇后」という人物がいる。彼女は朝鮮半島に出兵して新羅、百済、高句麗を支配下に置いた。この「三韓征伐」の話は、以前、筥崎宮の方生会へ行った際ブログに書いた。朝鮮半島からの帰りに福岡で産気づき、この地で後の応神天皇を生んだという話である。

 実は現在の姪浜は、神功皇后が三韓征伐のために旅立った場所であり、朝鮮半島での戦いの後、凱旋して来た地でもある。そのとき、海水で着物が濡れたので干したという浜が、この辺りらしい。「衵」というのは当時の着物の一種であり、それを干したので衵ノ浜ということだ。普通の人がどんな洗濯物を干しても話題にもならんが、皇后が干すと土地の名前に残る。さすがだ(笑)。

 この種の土地や寺社の謂れを聞いていると、本当に身重の皇后が軍団を指揮して朝鮮半島に攻め入ったのかとか、出陣先で子供を生んだりするのかとか、色々疑問に思う点はあるが、きっと人々の記憶に長く残るような何かが、その時代にこの土地であったのだろう。それが現天皇家の祖先のことではなかったにせよ・・・。だから神話時代に建った神社がこの地にあるわけだ。ちなみに、神話時代からある神社は、この姪浜だけでも幾つかある。何より、ここは「魏志倭人伝」にも出て来る「倭の奴国(わのなこく)」なんだから。

 そうこうしているうちに再び雲が厚くなって来たので、そろそろ山を下りることにする。そのまま室見川の方に下りるのではなくて、南西側に下りる。ここにちょっと面白いものがある。

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 この鳥居の下の岩は通称「蛇岩」と呼ばれている。この岩には伝説があるらしく、対立した村の若者同士が夫婦になったため、村人たちから海に投げ込まれ、死して後に蛇となったという話である。まぁ蛇に見えなくはないかな(笑)。ただ、面白いのはその伝説ではなく、この岩の侵食である。これは波に洗われたため出来たとされており、遠い昔、愛宕山の周りは海だったことの証拠というわけである。

 さて、愛宕山を降りたところから山の裾野を回り込むようにして、山の北側にある「マリナタウン」というショッピングモールに立ち寄る。買い物をして帰るためだ。

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 マリナタウンはダイエーが母体となって運営しており、ワンフロアーに様々な売り場が集まっている。お蔭で階を上下することなく、クルリと回れば一通り買い物が済むという便利な巨大店舗だ。アメリカのモールにちょっと似た雰囲気で、フードコートも大きい。

 さて、ここからは歩いて帰れる距離ではないので、珍しくバスを使うことにする。福岡市内のバスの路線図は相当複雑で、よそ者にはわけが分からん。いや、福岡の人にも分からないかもしれない(笑)。でも、バス路線を研究すれば、それこそ車なしでどこにでも行くことが出来るだろう。まぁマスターする頃には福岡を去ることになるかもしれんが・・・。

 今日は連休最終日でもっとタップリ歩こうと思ったのだが、天気が良くなくて残念だ。家に帰って読書といくか。

posted by OhBoy at 23:15| 日記