2011年02月05日

立春の海にて

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 朝起きると曇り空で、天気予報とは違うなぁと思いつつ、それでも昼前には太陽が出て来て、おだやかな日和になった。2月に入ってから福岡も寒さが緩み、風も収まって外出しても身を縮ませることがない。こんな日は散歩にはもってこいだが、おっとどっこい、今日は色々な用事がたんまり溜まっている。先週、先々週と、2週連続で週末は東京にいたものだから、その間サボっていたり、先延ばししていたものが、ドッと降りかかって来たわけだ。

 お仲間の単身者の方々に聞くと、週末に帰京すると洗濯や掃除をする時間がなくなり、平日の生活に支障をきたすなんて悩みをよく耳にする。私はあまり帰京する方じゃないから実感が湧かなかったが、今回立て続けに週末を留守にしてみると、なるほどなぁと思う。

 タイマーのボタン電池が切れていたり、洗濯用の洗剤が底を尽きかけていたりして、買いに行かなきゃなと思いつつ、この2週間ほどはこちらにいなかったので、そのままにしていた。単身生活の週末というと、こうしたちょっとしたものを買いに行くことが多い。スーパーやコンビニでは買えないものというのは意外に多く、それがまとめてではなく、ちょこちょこと必要になる。そのたびに買いに行っていると、ほぼ毎週末出動することになりかねない。平日の昼間が使えないというのは、けっこう痛いんだよなぁ。

 そんなわけで、今日は朝から洗濯と掃除にいそしみ、午後からは色々溜まっていた買い物リストを持ってあちこち訪ね歩いた。まぁ散歩も兼ねていたわけだが・・・。

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 外を歩くと、ポカポカ陽気とはいかないが、1月には考えられなかった穏やかな日和だ。気持ちが良かったので、そのまま足を伸ばして海岸まで出てみた。ついこの前までは、海を見に行こうなんて思いもしなかった。あの寒波襲来の中、海辺に出るなんぞ、あまりに無謀というものだろう。

 冬だというのに、遠景にはうっすらと煙のようなもやがかかっている。そう言えば、今朝も薄もやの中を太陽が昇っていたっけ。気温が高いのでこういう空気の状態になるのだろう。

 たいてい冬の空は空気が澄んでいて遠くまでくっきりと見える。東京でも、冬だと都内から富士山が見える。空気が透明なせいだ。遠景がこんな風にぼけて見えるのは、春が近づきつつある兆しだと思って、喜ぶべきだろう。何と言っても、もう立春だ。

 ただ、気温が高めとはいえ、浜辺に人影はまばらで、釣りをしている人もいない。いつもは防波堤で何人かが釣竿を伸ばしているのだが、この季節に釣果は望めないのだろうか。

 たまにジョギングする人とすれ違うだけの静かな遊歩道をのんびりと歩く。海に出ると風があって、さすがに冬だなと思わせるが、身を切るような冷たい風ではない。浜辺で凧を飛ばしている人に出会った。強い海風に乗って、凧が上空で勢いよくはためく。凧揚げにはちょうどいい日和だ。

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 波打ち際まで出て、砂の上を歩く。靴が砂に沈み歩きにくいが、浜辺を歩くというのはいいものだ。寄せては返す波の音しか聞こえない。砂の上の足跡はわずかしかついておらず、ほとんど人が来ていないのが分かる。犬の足跡もクッキリ残っているところを見ると、犬の散歩を兼ねて朝やって来た人だろう。その足跡をたどるようにして波打ち際を歩く。実に優雅な散歩である。

 時々立ち止まり沖合いを眺めながら、ふと1月のこの辺りの景色はどんなだっただろうと想像する。鉛色の重い雲が上空を覆い、凍えるような強風にあおられ高波が押し寄せていたに違いない。その強風の中に雪が混じり、わずかも立っていられないような極寒の世界だったのだろう。冬の日本海というのは、そういうものだ。

 私の故郷は日本海側の町で、冬の福岡と気候が似ている。もっとも、現在の積雪の状況は決定的に違うわけだが・・・。

 冬の日本海側は、毎日のように雲が重く垂れ込め、冷たい北風に時折雪が混じったりして、とにかく寒く暗い。東京に出て来たとき、あまりに晴れ渡り透明感のある冬の空に驚いたものだ。あれからもう30年近くが経つので、すっかり透明な青空の冬に慣れてしまったが、今回福岡で、どんよりとした曇り空の日々を過ごすうちに、故郷の冬を思い出した。

 日本海側の冬の海は迫力がある。風が吹きすさび、白い高波が繰り返し押し寄せる。荒れた海というのは、人間に潜在的な恐怖感を湧かせるもので、それでいてついつい見とれてしまう。人間の力なんて、自然の猛威の前にはちっぽけなものでしかないと思い知らされるのだ。

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 今年は雪が多いようなので、日本海側の人たちは大変だろうなと思う。私が子供の頃も雪がたくさん降ったが、年を追うごとに降る雪は少なくなり、やがてスキー場で雪不足が心配されるようになった。ほとんど積雪のない年もあったと聞く。だから、今年のような豪雪がたまに来ると、雪に慣れた地域でも参っているはずだ。

 雪国というのは不利だなと思う。子供の頃はそれほど思わなかったが、東京に出て来て、青空の冬を過ごすようになって、つくづくそう考えるようになった。日本海側と太平洋側では、1年を通じた活動期間がかなり違う。冬の間は、雪かきに時間を費やさねばならないし、市街地から少し外れると、雪が深くなって交通の便もぐっと悪くなる。1年を通じた地域の生産性は、雪の降らない地域と雪国では、かなり違うのではないか。

 福岡はその点、日本海側といってもましな方だと思う。雪雲は日本海上空で発達する。海から水蒸気を吸い上げて雪に変えるわけで、海の部分が短いと雪雲はたくさんの雪を蓄えられない。たまたま福岡はすぐ北に朝鮮半島があるので、西高東低の気圧配置になっても雪雲はあまり発達しないまま陸地に達する。お蔭でこの冬も、他の日本海側が大雪でも福岡市内は雪が舞う程度で済んでいる。

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 今日は3月上中旬くらいの陽気と天気予報は言っていた。このまま暖かくなっていくのか、また再び1月のような大寒波がやって来るのか、よくは分からないが、もう寒いのは充分だという気がする。2月は一番寒い月なんて言われるが、それは3月になれば一気に暖かくなるからではなかろうか。夜明け前が一番暗いなんて言うからな・・・。

 立春過ぎたんだから、そろそろ気温の方も高めにお願いしたいですね(笑)。

posted by OhBoy at 23:23| 日記